大阪府公文書館の機能の充実に関する要望書



二〇一〇(平成二二)年一月二三日

大阪府知事  橋下徹 殿

日本歴史学協会        会長  高埜利彦

同 国立公文書館特別委員会 委員長 中野目徹

同 史料保存利用特別委員会 委員長 佐藤孝之



 日本歴史学協会は、全国の歴史学関連学会と歴史研究者を会員として一九五〇(昭和二五)年に発足して以来、日本学術会議と一体となって我が国における歴史学の発展に関わるさまざまな問題に対処してまいりました。 なかでも、歴史学の基本に関わる史料保存をめぐる諸問題には重点的に取り組み、一九七一(昭和四六)年の国立公文書館設置に結実した行政文書の保存と利用を促進する運動においては、その中心となって活動し、 それ以来わが国の公文書館に関する課題には、積極的に発言してきました。
 さて、このたび大阪府は、大阪府公文書館を府政情報センターに統合・移転し、同館所蔵資料中の一部文献資料を府立図書館へ移したうえで、同館の書庫部分は吹田市の大阪府国際児童文学館の跡地へ移動させる方向を表明したと報道されていますが、 日本歴史学協会としては、この措置には大きな問題があると考えます。
 まず、現用公文書を対象とする情報公開制度と歴史的公文書の収集・公開制度との間における理念上および運営上の基本的な相違を充分にふまえないままに、公文書館の府政情報センターへの統合がなされると、公文書館機能が事実上消滅してしまうのではないかという危惧をいだかざるをえません。 次に、府政情報センター自体の最終的な設置場所や規模が未確定な状態のままに、移管資料の図書館による選定などが行われると、公文書館所蔵の他の資料群の拙速な廃棄処分さえ懸念されます。
 改めて述べるまでもなく、「公文書館法」(昭和六二年法律第一一五号)では、公文書等の有する歴史的価値が認められ、それらを適切に保存するとともに利用に供することは、国および地方公共団体の責務であること、そのために最もふさわしい措置が公文書館の設置であることが定められております。 さらに、昨年七月に公布された「公文書等の管理に関する法律」(平成二一年法律第六六号)では、第三四条において、地方公共団体が保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、それを実施することを、地方公共団体の努力義務として定めています。
 右のような「公文書館法」および「公文書等の管理に関する法律」の立法の趣旨から見ましても、公文書館を充実・発展させてゆくことは国および地方公共団体にとって重要な課題であります。 国および地方公共団体は、住民の権利と自治に関わる重要な事実を記録した公文書を、その保存期間が終わった後も歴史的公文書として、その他の歴史資料とも併せて適正に管理・保存し、広く一般に公開する責務があります。今回の大阪府の計画は、これに逆行するものと言わざるをえません。
 つきましては、大阪府公文書館がこれまで果たしてきた大きな役割に鑑み、大阪府は、府民はもとより広く関係分野の知見を聴取され、今回の措置を再検討されるとともに、公文書館機能の拡充方策を確立されるよう強く要望するものです。

以上