除籍簿保存管理についての要望書

 個人が生存したことの法的な証拠となる除籍簿の保存管理を関係官庁に強く要望する。
 戸籍簿に記録されることで、個人は生存が公的に認められ、死後の記載は除籍簿に移される。したがって物故者のかつての生存の記録は、除籍簿を閲覧することによって確認されることになる。子孫が先祖についての確認をしたり、歴史家が純粋に研究のために個人の生存記録を資料として参照したりするのに除籍簿は用いられる。しかるに現在、法務省通達による各地法務局の「戸籍事務取扱準則」によって、除籍簿に記載後八〇年経過すると破棄される。実際の廃棄がなされなくとも密封されて閲覧することは認められていない。  もはや一九二五(大正十四)年以前の、物故者の生存した正式記録は閲覧不可能ということになる。これでは、自由民権活動家の生存記録を確かめたり、近代史研究に必要な人物の確たる記録を調べたりすることが不能になり、学問・研究を阻害することにつながる。歴史研究に不可欠な貴重な歴史資料である除籍簿が、八〇年経過後も閲覧可能となる保存・管理の制度が整えられるよう、歴史学の研究者および学界・研究機関の総意として、日本歴史学協会は関係官庁に強く要望する。

2006年(平成18年)1月14日

日本歴史学協会 会長 近藤一成
同       国立公文書館特別委員会 委員長 外園豊基
同       史料保存利用特別委員会 委員長 高埜利彦